旅のしおり
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Author:シュンちゃん
還暦を過ぎました。思えば遠くへ来たもんだ。人の命はいつか必ず果てる。生きる軸足である山のほか、本にしおり挟むよに、趣くまま時折生きし証ここにつづる。齢ゆく者のボケ防止備忘録ブログです。適当におつきあいください。
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読了 「おさん」 – 20180228(水)

おさん - 2018028

山本周五郎 「おさん」 読了。 表題作含めた十の話し。

藤沢周平がどちらかと云うと静かな情景描写上手いとすれば、
この周五郎、人の心の描写がやはりすばらしい。 時に静かに時に激しく。
どれもなかなか深く、良かったですが、
取分けお気に入りは、「並木河岸」 「おさん」 「饒舌り過ぎる」


以下あらすじやら感想やら
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■「青竹」…「ますらを」昭和十七年九月号
  戦で手柄を立てても褒美を求めない、井伊藩士余吾源七郎の、一徹な武士の生き方を描いている。 発表年を見るに当時は戦時下。 手柄を立てて一旗揚げようと云う風潮に対するレジスタンス、世相がら揶揄とまでは云わないが皮肉ウィットなものを感じました。

■「夕霧の中」…「キング」昭和二十七年二月号
  仕返しに江戸に帰ってきた男が、町方に後をつけられる。 暮れ方の墓地に逃げ込み適当な墓の前にぬかづくのだが、墓参に来た母親と妙なことになる話し。

■「みずぐるま」…「面白倶楽部」昭和二十九年五月号
  旅芸人薙刀使いの少女若尾がふとしたことから武家の重職の養女となり、健気に明るく成長してゆくという話し。

■「葦は見ていた」…「面白倶楽部」昭和二十九年九月号
  側用人からさらに次期国老就任を目の前に辞職した藤吉計之介だが、若い頃は商売女に現を抜かす遊び人だった。葦の河原で古い蒔絵の文筥をを拾い中の手紙を読むが、、、

■「夜の辛夷」…「週刊朝日別冊」昭和三十年四月
  凶状持ちが来れば岡っ引きに教え謝礼をもらう、二十四になる岡場所の子持ちのお滝。 そんな暮らしの女になじみができた。 さてどうなる。

■「並木河岸」…「オール讀物」昭和三十一年八月号
  深川平野町に帳場を持つ船大工の鉄次。 二十四でおていと所帯を持って七年だが三度の流産、子に恵まれない。 フリで入った飲み屋で(鉄次には憶えはないが)幼なじみだという女お梶と出会う。 急速に親しくなり泊りがけの遠出に出かけることに。おていには仕事仲間と行くと云うが、おていはわたしも一緒にゆくと云う。 粋でハッピーエンド心温まる作品。

■「その木戸を通って」…「オール讀物」昭和三十四年五月号
  許婚がある男の家に年頃の女がこの頃いるという、、、確かにいた。 決まっていた話は破談。 誰からも稀に好かれるほどの良い娘だったのでついに一緒になり子までもうけるが、ある日女はその木戸を通っていなくなる。 ファンタジックワールド、那覇市、じゃなくて話し(おやぢギャグ失礼)。

■「おさん」…「オール讀物」昭和三十六年二月号
  山本リンダじゃないが「火がついたらもうどーにも止まらない」と云う持って生まれた体持つ女の性に左右される男たち。 参太とおさん。 おふさ、そして伊三。 次々に男を換えるおさんはその性ゆえに男たちを破滅させ、最後は自分も殺される。どろどろしたもの描いてるわりに、表現構成がとてもすっきりしてて、読む者を飽きさせない。 読み易い名文章であるとも思いました。

■「偸盗」…「オール讀物」昭和三十六年六月号
  偸盗、、、耳になじまないことば、要は盗っ人の話し。 極悪非道を自負する盗っ人鬼鮫が、多くの人々から取り上げる貴族も自分と同類な偸盗だと、貴族を狙い、ついに美姫の誘拐に成功するが、あららこれがとんだ娘で困ってしまうという話し。 鬼鮫結構ユーモラス。 そして悪い奴ほど良く笑う社会構造も描き出してるのかな、そう思いました。

■「饒舌り過ぎる」…「オール讀物」昭和三十七年二月号
  子供の時からの親友、小野十太夫と土田正三郎。大きくなっても離れられない。 好きになる女が一緒なら女もどちらも好きになってしまうという複雑さ(笑) エンドレススパイラル~。 それぞれに所帯をもつが。 そして一人が亡くなる。 文章表現すっきりしてるし、「饒舌り過ぎる」 という題名が逆説的であり、内容をより深くしているように思いました。


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