旅のしおり
プロフィール

Author:シュンちゃん
還暦を過ぎました。思えば遠くへ来たもんだ。人の命はいつか必ず果てる。生きる軸足である山のほか、本にしおり挟むよに、趣くまま時折生きし証ここにつづる。齢ゆく者のボケ防止備忘録ブログです。適当におつきあいください。
   since 2008(H20) 8.28 



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久々に解放感の中で - 20180209(金)

いつまでも寒いですが、雪かきからRelease!! からの、週末三連休前夜, 
自分の時間が取れる、持てるという事はありがたいことだと思います。
ヤでも身も心もゆるみます。 こんな夜は久しぶりに好きなジプシー・キングス

まずは、知ってる人は知っている知らない人は知らない
♪インスピレイション (Inspiration)
池波正太郎,鬼平犯科帳のエンディングテーマから~♪

曲と江戸庶民情緒のマッチング、なかなかステキです。

つづいて ♪ボラーレ (Volare)

控えめで大人な情熱感,たまらない。 楽しむ人々の様子もいい。

そして ♪マイ・ウェイ (A Mi Manera)

ものがなしく凛とした感じ、
ジプシー・キングスだからか、本家より好きです。  やはり名曲ですね。

人と云うものは、
ひとときでもこうして夢を見ていたい、夢の中に身をおきたい、
そう思う、またそうでなければ生きてゆけない生きものように思います。
生きてることそのこと自体が 「夢」 なのかもしれない、とも。

あすは久しぶりに目覚ましかけず、だっらだら!に寝てたい。

読了 「蜩ノ記」 – 20180202(金)

蜩ノ記 - 20180202(金)

葉室麟 「蜩ノ記」 読了。
今をトキメク売れっ子時代小説家の一人葉室麟氏が、
昨年末に突然亡くなられましたので、追悼。

命のタイムリミットに向け一日一日を過ごす一人の武士とその周囲の者たち、
武士として、父として、夫として、どこまでも切なく、そしてどこまでも凛としている。
ストーリーの分かり易さに、葉室麟という作家の癖のない表現のシンプルさが際立った一冊、
それゆえに、物語全体にとても透明感がありましたし、物静かな情景描写もステキでした。
限られし命の物語ながら、爽やかな感が残りました。 ご冥福をお祈りいたします。

※参考
葉室麟氏が66才で亡くなられたことは一般的な寿命からするとかなりの短命ですが、
藤沢周平69才、池波正太郎67才、山本周五郎63才、と多くの時代小説作家は短命です。
24時間365日、自らで自らを律し、創作活動などと云うものに身を置きそれを生業とする、
職業柄、たいへんなストレスがかかるものと思われます。 合掌。


読了 「羆嵐」 – 20180117(水)

羆嵐 - 20180117(水)

吉村昭 「羆嵐」 読了。 
実際に起きた三毛別羆事件をもとに書かれた惨劇。

大自然の中にあっては人はただのエサに過ぎない、 
村の者、消防団、警察、そして鉄砲持ちがどれだけ集まってもただのエサの集団に過ぎない。

日頃飲んだくれ者荒くれ者と周囲から煙たがられ敬遠されている、
老練なクマ撃ちが最後一人で討ち倒すのですが、
討ち獲る際の、繊細で美しいとさえも言える姿、挙動、
人にはそれぞれの立ち位置、居場所、と云うものがあることを改めて感じました。

雪の真冬に読んだのは適期でした。
参 考

しばらく、血生臭いもの続いたので、少しふにゃっとした明るいもの読みたくなってきました。

読了 「破獄」 – 20180108(月)成人の日

破獄 - 20180108(月)

吉村昭 「破獄」 読了。 
先日 「高熱隧道」 読んだのですが、友人の山の歌さんから、吉村昭ならこれ面白いよ!
と薦められた内の一冊読んでみました。

実在した天才的な脱獄常習者の話し。
投獄、脱走、逃走・潜伏、逮捕、投獄と四度の脱獄を繰り返す。 その手口に実行力、
身体能力はもちろん、そのことに長けた非凡な頭脳と執念はすばらしい。
時代背景戦時下中心なので、戦争、刑務所(看守ら)の事も詳細に描かれていました。
青森、秋田、網走、札幌、府中と刑務所を渡り歩く。 そして脱獄をやめるに至る理由とは? 

解説に 「脱獄囚は社会的には悪の象徴である。 しかし、、、人生そのものを牢獄と考える見方をとるならば、人間は自由を求めつつ、たえず社会秩序という牢獄の中におかれている」 、とある。 人は楽しそうに見えていても平静を装っていても、必ずみな何かに悩み、不幸を背負い引きずりながら生きています。 この世を生きゆくこと言い当ててるように思いました。

私の読書の志向は今も時代小説(歴史小説ではない)にあるはあるのですが、ともすると有りそでな無さそなフィクションの精神世界に埋没し、それにうっふんなどと満足しがちなわけですが、こういった史実に基づいたアウトローで骨太なモチーフに、ぐっと現実に戻された感、なかなか良かったです。

話し変わり、文字依存症になりつつある、、、もうなってるのかな、 
本が手元にないと落ち着かない。 ものごと何事もほどほどが大切です。
少し本から離れなければ、と思う事頻り。 一日の読書時間や酒じゃないが休読日とか。
眼も加速度的に悪くなってきてる。 視力そのもの、左右の視力の差、進む白内障。
そうなると、山を思うままに歩けなくなる、滑れなくなる、、、それが一番怖いのです。

読了 「高熱隧道」 – 20180102(火)

高熱隧道 - 20180102(火)

吉村昭 「高熱隧道」 読了(再読)。
黒部でダムと云うと黒部川第四発電所…通称黒四(くろよん)…が有名ですが、それ以前戦前に行われた黒三(黒部川第三発電所)工事の話し。 欅平~志合谷~折尾谷~阿曾原谷~仙人谷に、軌道と送水の為の隧道掘った時の史実に基づく話し。 人物は創作だが工事過程はでき得る限り正確さを期した、と作者は云っている。 泡雪崩と中の高熱などにより三百人以上の死者を出した本工事。特に志合谷と阿曾原の泡雪崩は凄まじい。 そして戦時体制下国策として天皇まで動かし達成されたこの工事。 そこにあるトンネル屋(監督や技師)の性、思い、人夫たちの悲運、思い。 黒部の山の隅で働く者としては、幾度か読み返し押さえておかなきゃいけない一冊です。 余談ですが、作中 「黒部渓谷」 という表現をしているが 「黒部峡谷」 と云った方がしっくりきます、黒部のもんには。

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年の初めも、ちてつ電車にゆられながら、駅中でお茶しながら、の読書でした。

〇 元日 〇
正月なのでお神酒頂き、好物の、酢だこ、かずのこ、ニシンの昆布巻き、に、
餅四個投下の雑煮を腹に入れ出立。 腹も気持ちも結構いっぱい。 8:21荻生駅乗車。

寺田の待合室。 あたたかい雰囲気のある空間でした。駅員さんも。
寺田駅待合室 - 20180101(月)

千垣橋梁から。 ん~寒そう(一一")
何処かの橋から - 20180101(月)

ありみねぐち駅
ありみねぐち - 20180101(月)

もうすぐ立山駅


元旦の立山駅
立山駅 - 20180101(月)  待機 - 20180101(月)
シーズンオフ - 20180101(月)  スキーバス - 20180101(月)

立山駅から富山に向かう。 途中初詣客がたくさん乗ってきた。
マリエにある好日山荘でちょっこり買物。 あとは無印商品チラホラ見たりし黒部へ。
15:14荻生駅着、本屋に寄り15:30歩いて帰宅。

〇 二日 〇

そんなに遠くもないけど、仕事にゆくというので、息子に送ってもらい、
7:35荻生駅乗車
ぼくひとり - 20180102(火)  荻生駅 - 20180102(火)
元元利用客の少ない駅。 今日はわたしだけ。    中学の統合でこの駅の様子ももうすぐ変わります。

線路はつづくよどっかまで。。。
線路は続くよどこかまで - 20180102(火)

富山に着いて、今日はドトールで腰据え本読み。
めっちゃ混んできて勉強してる学生さんたちがおん出されたら出なきゃ、と覚悟決めてましたものの、この日は客足速くてつんからつんと出入りがあり、結局二時間弱、客待ち行列できませんでした、ラッキー!!このような状況下で勉強してる高校生の気が知れない。よくこんなとこで集中できるもんだ。

で本日のメイ~ン!!! ダブルデッカーの二階に初めて乗りました。
ダブルデッカー - 20180102(火)

ダブルデッカー2 - 20180102(火)  ダブルデッカー3 - 20180102(火)

昼メシも少しだけ豪華です。
今日の昼メシ - 20180102(火)
わたしも少し気持ち高揚してましたが、その筋のオタクが幾人もおられました、
動きに目なんてぎらっぎら!すごかった。 色色教えてくれたが、、、わたし殆ど興味なし。

新魚津な頃


急ぐ旅でもなし、それに車中ほとんど本など読んでるものですから、
普通電車でも富山宇奈月間に要す時間などさほど気にならないのですが、さっすが!特急は早い!!
宇奈月までゆき早早リターン。 14:33荻生駅着、14:45歩いて帰宅。

ちてつ旅と読書な年末年始、ゆったりした三日間でした。
ただここんとこ座りっ放しだったため今腰が重だるい。 
キレッキレよー!なんてのは遠きになりにけりですが、も少し体動かさなければ。。。

読了 「さぶ」 – 20171231(日)

さぶ -20171231(日)

山本周五郎 「さぶ」 読了。 400詰原稿用紙650枚ほどの長篇もの。
藤沢周平で云うと、用心棒日月抄 完結篇の「凶刃」くらい、
「蟬しぐれ」や「風の果て」「海鳴り」に比べれば短いのですが、
そろそろ赤ちゃん還りなお年頃、年年集中力欠けてきてるとっしょりには~、、、長かった(笑)

タイプの大きく違う同い年の若者二人の内の一人の人生がある日大きく変わる。 将来を約束された腕のいい職人から、二十八年続いた「木枯し紋次郎」シリーズ記念すべき第一作、笹沢左保 の「赦免花は散った」のような世界へ。 そこでの出来事、出会いが男を変えてゆく。 そして女もちょと絡む。 さてさて結末や如何に。 切なさ人生訓的な部分あること否めませんが、若者二人の江戸版青春グラフィティ、といった感じの内容で、気軽に読める周五郎の一冊としてお薦めです。


さて、年末年始こちらはどうもすっきりしない天気予報なので、今年はこれです! 
年末年始ふりーきっぷ -20171231(日)
動く読書ルームとしての利用が主な目的、
年始もそこそこ楽しめそう。 富山駅前辺りもうろちょろしたいし。

6:39電鉄黒部駅乗車。 しばらくして橋場くんが乗ってきた。
私はだらっだら!な読書メインですが、彼は今年最後の山へ行くという。
橋場くん -20171231(日)
いただいたリンゴ酒、熟成するまで寝かせますね。さんきゅう!
どっからだったか忘れたがK隊の中村くんが乗ってきた。 久しぶりの再会。

とやまに着いて、迷わず先ずあそこ!! トイレ、、、もう弱っちぃオジジであることを再確認( 一一)
で、歩きまショー!なる、徘徊ターイム。 以前いた職場。
以前いた職場 -20171231(日)

年末年始って城が妙に似合う様に思いました
城 -20171231(日)

門を見て「ん~りっぱなモンだ~!!」とおやぢギャグとばす、
、、、しかし聞き人おらず(一一") 足元にいたハトが身近に感じた。
門と城 -20171231(日)

スタバでお茶しながら本を読み、とやマルシェ巡り。。。何も買いませんが(#^^#)
とやマルシェ -20171231(日)

反対側、宇奈月にリターン。散策。 今日のトロッコ電車宇奈月駅。
トロッコの駅 -20171231(日)

のち上市まで。 お目当ての食堂やってなく残念でした。
上市駅前 -20171231(日)

そして高校時代過ごした魚津へ。 魚津は黒部より雪が多かったです。
魚津駅前 -20171231(日)


15:05電鉄黒部駅着。 歩いて15:40無事帰宅。
電車のミニ旅ってのもなかなかいいです、
車窓からの景色どんどんかわってくし、年末のシャバの様子も五感で感じれました。
今日は平地ながら8~9kmほど歩きました。 
慣れないことをしたからでしょう、珍しく空腹感を少し覚えました。

読了 「赤ひげ診療譚」 – 20171225 (月)

赤ひげ診療譚 -20171225(月)

山本周五郎 「赤ひげ診療譚」 読了。ちょうどドラマでやっていたので再読。
幕府のお目見医となるべく将来を嘱望され長崎での三年間の勉強から帰り、小石川養生所にやってきた若き医師保本登。「養生所」などという施療所へ押し込められる筈はないと。そしてそこに「赤ひげ」と呼ばれる医師新出去定がいた。見習医としてそこで嫌嫌働くこととなった保本。この養生所で起こる悲しく切ない話しを八つつづった連作短篇集。保本の心も次第に変化してゆく。つらく悲しいことは貧困と無知から生まれる、が根底に流れています。ドラマで流れた口笛の挿入歌も切なくてとっても良かったです。

話しは横にいきますが、
今をときめく時代小説作家の一人、葉室麟氏が亡くなった(この12/23、66歳で)、
私は二冊しか読んでませんが、確かでさわやかなタッチが印象に残っています。
氏は鮎川誠の高校の二級後輩にもあたる。心より哀悼の意を表します。合唱。
因みに藤沢周平は69歳で、山本周五郎は63歳で、池波正太郎は67歳で亡くなっています。


以下私的覚え書き
  ※ nhkBS時代劇ドラマとは、2017(H29)11/3(金)~12/22(金)にかけ八回にわたり放送された、
    船越栄一郎(新出去定)、中村蒼(保本登)らが出てたテレビドラマ。
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■狂女の話 …nhkBS時代劇ドラマでは「新人医師来る」
  長崎修行帰りの医師保本登が小石川養生所にやってきた。赤ひげこと新出去定、見習医津川玄三、見習医森半太夫。おゆみ、お杉。天野まさを。畳なし床板薄縁に夜具。登は夜お杉と思った女おゆみに殺されそうになったところを去定に助けられた。

■駆込み訴え …nhkBS時代劇ドラマでは「父娘の絆」
  蒔絵師だった六助五十二歳。大機里爾。貧困と無知にたいする戦い。木賃旅籠「柏屋」主人金兵衛、家主藤助が子供を連れてきたと。六助の娘おくにの子、十一の長女とも、八歳の長男助三、六歳の次女おとみ。六助の昔の弟子富三郎(指物職)これが働かない。貧しい暮らしから、夫を奉行所に訴え出たおくに。さてさて。。そして、六助の女房と富三郎、おくにの関係。人生は教訓に満ちている。しかし万人にあてはまる教訓はひとつもない。

■むじな長屋 …nhkBS時代劇ドラマでは「最期の告白」
  極貧者の集まるむじな長屋。貧しい人間が病気にかかるのは大部分が粗悪な食事から。一方金持ちや大名が病むのはたいてい美味の過食と決まっている、と去定。そこに住む一人の病人のことばでおしきせ(医員用の上衣)を着るようになった保本登。労咳にかかり死も近い佐八。食べるものも薬も人に施しており周囲から神か仏の生まれ変わりの様だと云われる佐八。十七八年前に別れたかみさんおなか。長屋の裏の崖崩れを均していたら布団に包まれた死体が出てきた。死を直前にした佐八が語りだす。

■三度目の正直 …nhkBS時代劇ドラマでは「兄貴と弟の轍」
  棟梁の家で子飼いから一緒だった大工の二つ年下の弟分猪之。手先が器用で頭もいい、話しも上手とくりゃぁ女にももてると云うか、女に惚れられる。が女遊びは全くしない。なのに次からつぎへと一緒になりたい女ができたと云っては兄貴分の藤吉に世話面倒かけ、女に惚れては嫌になるを繰り返す。藤吉が仕事でしばらく水戸に行くと云えばついてくる。そして挙句様子が変に。仕事に身は入らない。着物は裏返しに着る。昼ぐうぐう寝て夜藤吉にどなられるまで独り言を云ったり鼻歌を歌ったり。挙句にゃ植木が逆さま、枝を埋めて根を上へ出すなんて始末。医者に診せたところどの医者も気の病(気鬱症)と言うがどうもそうとは思えないと養生所にやってきた藤吉。女嫌いになった理由とは。女はなんにも知らない顔して何でも知っている。そして「おれはあにきが側にいねえと、年寄りの男やもめみてえな気持ちになっちまうんだ」。世の仲にゃいろんな病気があるもんだという話し。小説はお杉と一緒になりたいと云うところで終わるが、ドラマは、去定に諭された藤助が、江戸を離れ水戸に行くことを猪之に云い、縁を切ろうとする殴り合いのシーンで終わる。

■徒労に賭ける …nhkBS時代劇ドラマでは「兄妹の行く末」
  登と去定歩きながら「畳は悪い」から話は始まる。すれちがいざまにわざと去定に突き当たってきた若者。小さな娼家が集まるみくみ町にいる瘡毒にかかっているとよ十三歳。みくみ町では何度か用心棒たちに襲われる。娼家の主人やそれにたかり非道な道で生きている者たちは許せない。去定曰く「この世の背徳や罪悪の大部分が貧困と無知からきてるとすれば、少なくとも貧困と無知を克服するような努力がはらわれなければならないはずだ。徒労のようにみえながらそれを継続し積み重ねることによって効果の現れる仕事もある。おれのしてきたことは徒労かもしれないがおれは自分の一生を徒労に打ち込んでもいいと思っている」と。小説はそうではないが、ドラマでは前述の若者ととよが兄妹という設定になっている。そしてこの話しはストーリー性より新出去定の仕事を通しての生き方を云っている。以外だったのは、元元の師は洋学者であり語学の秀才だった去定を自分の後継者にするつもりだったのが、去定はそれを嫌い門下をはなれ長崎へ行って蘭方医学を学んだのだということ。

■鶯ばか …nhkBS時代劇ドラマでは「子殺しの罪」
  千両になるのだと信じ幻の鶯の声を聞いて暮らす男、十兵衛(四十一)一家と、ひどく頭を打ってからろくな仕事に就けずしまいにゃ何事にも飽きっぽくなってしまった男、五郎吉(三十一)一家、そしてその二家族が住む「伊豆さま裏」長屋の人々の話し。母のために銀杏を拾い売ったり、焚きつけにするために板塀を盗む子。殺鼠剤で一家心中を計った五郎吉一家。井戸に向かい名前を呼び、この世に戻そうとする長屋の人々。井戸は地面の底に続いている。死にかけてる者がこっちに帰ってくると云われている。子供四人が死に夫婦二人が生き残る。ドラマでは亭主と子供三人が死に母親と息子の長次の二人が生き残る。死なせてくれれば良かったという母親に「人だったら誰でも助けようとするでしょう」と云うのに対して母親が云う「生きて苦労するのは見ていられても、死ぬことは放っておけないんでしょうか」と。この疲れ果てた人間全体の叫びにごまかしのないことばがあるだろうか。ドラマは、千両鶯信じる男と頭をひどく打っちまた男が同一人物、つまり一つの家族として話しが展開される。

■おくめ殺し …nhkBS時代劇ドラマでは「後悔と恩返し」
  長屋の持ち主が取り壊すので月末までに立ち退いてくれと年の暮れに云ってきた。新地にしたいのだと。ところが店賃タダという約束があった。証文はない、と家主は云う。十九年店賃タダで住んでいたわけ。長屋の住人達たちはもちろん立ち退きたくはないし、また一方店賃が長い間タダの理由もわからない。親心子にはなかなかわからない。知ってるのは今はボケちまった年寄りだけ。さてさて。

■氷の下の芽 …nhkBS時代劇ドラマでは「妊婦の覚悟」
  十九の身ごもった娘が母親と一緒に診療所にやってきた。腹の子を堕ろしてくれと母親は云うが当の本人は産むと云う。母は奉公先での事故で頭がおかしくなったこの娘がこの先子を育ててゆけるかと。まして父親も誰だかわからないという。この母娘そしてこの家族の奥に深い謎がある。一方登はまさをと婚約し、晴れて目見医に上がることになったのだが、養生所に残る意思を固める。温床でならどんな芽も育つ、氷の中ででも、芽を育てる情熱があってこそ、真実生きがいがあるのではないか。見た目に効果のあらわれることより、徒労とみられることを重ねてゆくところに、人間の希望が実るのではないか、という去定の生き方に魅せられ。

読了 「青べか物語」 – 20171213(水)

青べか物語 -20171213(水)

山本周五郎 「青べか物語」 読了。
周五郎が大正十五年春から昭和四年春まで住んでた浦安の記録と記憶
、、、浦粕メモ、をベースに書かれたもの。 氏が二十三歳から二十六歳の時のこと、
今からだと百年近く昔が題材ですが、彼には珍しい現代ものです。

長篇ながら三十三の話しからなっているので所々一服しやすい ((笑))
善悪の概念に縛られることなく、ごく自然に。 
自分のセリフ省略するというスタイルで。
ぱっと読みノンフィクションの様に感じましたが、ん~そうではないと思います。
そして、物語である以上、書きたいことの脚本あると思いますが、
昔を回顧するように淡々と端的に書かれている点が、
読む者の心に当時の静かな町の情景を思い起させてくれる。
と同時に、ファンタスティックささえ感じる雰囲気ある作品でした。


以下走り書き自分メモです。
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・はじめに
  浦粕という海辺の町の説明。そこで「私」は「蒸気河岸の先生」と呼ばれあしかけ三年あまり独りで住んでいた。大正の末期から昭和初期にかけて山本周五郎が浦安に住んでいた時の様子、記録と記憶から当時の様子を題材にしている。

・「青べか」を買った話
  大蝶の倉庫番をしている芳爺さんから「おめえ舟買わねえか」「いい舟で値段も安い」と上手いこと云われ、べか舟…貝や海苔採りに使われる一人乗りの平底舟…を買うことになった。胴がふくれて形が悪くその上に外側が青いペンキで塗られており、見るからに鈍重で不格好だった。必要な修繕はいかずちの船大工に届けると老人が云い話しが決まった。翌日舟の代金三と五十と豚肉百匁を芳爺さんに届けた。

・蜜柑の木
  亭主持ちのお兼(三十五)に恋をした大蝶丸の水夫助なあこ(十九)。この土地で恋と云えば沖の百万坪の海苔漉き小屋へ行って寝ること。そんなにてま暇かけるほどのこってもない、と云うのが常識。どこのかみさんが誰と寝たなどという事も日常茶飯。中には嫉妬深いのがいて時に凄い騒ぎになることもあるが。一方中学生が女学生を恋するように真面目な助なあこが、寝言でお兼の名を呼んじまい、となりで寝ていた二人の水夫に聞かれてしまった。夜遊びにも出ず勉学に勤しむ助なあこ。そんな助なおおこをお兼が誘った「わたしあんたのことが好きよ」と。お兼の亭主は、浮気性なお兼が寝た男の所へ訪ねてゆきねだる、そんな男だった。助なあこの恋もひと月ほどで終わった。男が一杯いると知って。男と女の仲は蜜柑の木を育てるようなもんだ。なすび、かぼちゃ、さつまいもまだ生るような木は嫌いだと。のち亭主が蜜柑の木の話しを相手の男にするようになったとさ。

・水汲みばか
  仕出し料理屋「魚辰」の跡取り息子の水汲みの話し。レコード集め聴き出し大量になるにつれ頭おかしくなったらしいという。長い時は半日水汲みしてる息子。店は男より勇ましく慣れた手つきの妻と母と三人の若者でやっている。  

・青べか馴らし
  浦粕中知らない者はないまぬけなぶっくれ舟の青べかは悪童どものいじめの標的。繋いでおいたのが一時姿見えなくなったが、戻ってきた。練習に出るがまったく思う様に動いてくれなかった青べかは、愛情や劬りを捨て悪童どもと同じように、それが正しく青べかにすぎないと認めたとき、初めて私の棹と櫂の命ずるままになった。

・砂と柘榴
  新婚の寝間、自分の夜具の周りにぐるりと砂を撒いた新妻。お母様の喪があけるまでそうするようにと云われてきたと。ところが喪があけても砂を撒き続ける妻。そのままに放置。結局離婚。「思いやりやさしさから」と「男らしくなかった」という言い分の相違。男はまた妻をもらい、柘榴をみたと云う。

・人はなんによって生くるか
  深遠で哲学的なる人生命題、何ともそそられる表題です!
  ん?と、ところが、ん~そこでしたか! な話し。

・繁あね
  町中で最も汚い少女だと云われている十二三の繁あね。親無し、家無し、乞食、墓場の供え物食べる、風呂には入らない顔も洗わない。シラミだらけノミだらけ。体はできものだらけで胸のところは腫物の膿のため着物がはりついて取れなくなっている。近くへ寄るとひどく臭かった。不運な海難事故から酒浸りになった父、料理屋の裏口で残り物をもらって生き延びていた母も若い男と出奔。そして父も出奔。繁あねと乳呑み児の妹は捨てられた。

・土堤の春

・土堤の夏

・土堤の秋

・土堤の冬 
  寒い雨の中、七八人の男女子供が土堤の上を歩いて行った。一夜明け、浦粕座が焼けたと。かかっていたのは柏権十郎座。その一座の蝋燭火が引幕に移ったのが原因らしいと。

・白い人たち
  昭和十一年八月「アサヒグラフ」初出、菊月夜に収められている「蛮人」はここから。

・ごったくや
  生きてゆくため何ともたくましい港町小料理屋の女たちとそのかも。

・対話(砂について)
  砂は川をさかのぼり大きくなる

・もくしょう
  「もくしょう」とあだ名されるエンジ元井。好きだったおさいが嫁入り出戻りに。

・経済原理
  蒸気河岸先生子らから鮒を買う、の話し。おしまいは「これ先生にくんよ」

・朝日屋騒動
  喧嘩絶えない博打好きな夫婦甚六とあさ子。五色揚を家で売る。若い巡査とのやり取り

・貝盗人
  青べかで干上がった海に出かけ知らぬものとはいえ貝を採ってたら、という話し

・狐火
  どじょうを捕るカンテラ火が蜃気楼減少で狐火に。化かされる化かされる、、

・芦の中の一夜
  幸山船長。十七号船、十九号船、二十九号船。ゴースタン、スローアヘー。

・浦粕の宗五郎
  汚物処理場。佐倉宗五郎

・おらあ抵抗しなかった
  色男十七の見習い水夫銀公。三十二号船での博打手入れ。無抵抗演技と私服警官の思惑。

・長と猛獣映画
  船宿「千本」の長(小学校三年生)を連れ浅草に映画を観に行った時の話し。

・SASE BAKA
  おすず十七。人は見かけによらない。

・家鴨(あひる)
  太い銀色の無精髭に禿げた頭のまわりも短くて太い疎毛でおおわれた増さん五十ほど。
てんぷら屋「天鉄」で出会い気にかかる。若い時から乱暴者だった。二十三で十八のきみのと所帯持つも乱暴者変わらず、その上に出奔癖もある。家に帰ってもきみのに暴力をふるい続けた増さんがある時を境に人が変わっちまった。負ぶって銭湯にも連れてゆく。

・あいびき
  散髪屋の湯沸しだの養魚池の網で男の本当の気持ち分かるかよ!じれってい(笑)

・毒をのむと苦しい
  心中した男と女どちらも死薬飲まず、苦しかった、な話し。

・残酷な挿話
  堀の南の洋食屋「四丁目」でバス会社の会計主任「春さん」が三人の運転手にビールを奢りながら話している。看護兵だった頃の話し。三日三晩一睡もせずに付き添っていた母と妹。ついに死ぬゆく息子を看取った後二人とも欠伸した。

・けけち
  けけちはこう鳴くらしい。

・留さんとおんな
  三十六号船の水夫である留さん。ひどく色が黒く、歳は三十四でお人好し。そんな留さんふだんはお金を使わないので貯まるのだが100ほどたまると女ができてすっからかんに。その繰り返し。できると云ってもみな商売人上がり。そんな「留さんと八兵衛女郎上がり・お秀」の物語。世間は狭い⇔世間は広い、、、平行線は世界が広いから交わる、、、ユークリッドの定理? ストリンドベリイ「青巻」・・・苦しみつつ、なおはたらけ、安住を求めるな、この世は巡礼である。

・おわりに
  町の隅々まで歩いた浦粕を後にした。八年ほどのちに浦粕を訪ねた。留さんと会った。本にしたこと怒るかと思ったら何故か嬉しそうにしていた。ほか幾人かに逢うが、町も人も変わりもう浦粕には二度と来ることがないだろうと思った。

・三十年後
  浦粕に来てみた。浦粕ノートから作品にしたものについてあれやこれや中傷されるのではないかと心配なのであまり人には会いたくなかった。当時住んでいた家を見、長がいるはずの蒸気河岸の「千本」へ。四十二になった長がいた。それから鉄なあこのてんぷら屋へ。大蝶がつぶれたことや留さんも亡くなったことを聞く。同伴者二人は飲んだり食べたりするよりも、自分たちの読んだ「青べか」の世界がなまなましく目の前で展開されていることの方に興味をそそられているようであった。別れの時がきた。長は結局「私」をはっきりとは思い出してくれなかった。したがって題名の「青べか」がどうなったかはついに不明のままにこの物語はお仕舞いとなった。


読了 「日本を変えた幕末明治維新の志士たち」 – 20171125(土)

日本を変えた幕末明治維新の志士たち -20171124(金)

読了 「日本を変えた幕末明治維新の志士たち」
年表でザックリうろ覚えでしかなかった日本が大きく動いたあの頃、
幕末から明治初期の頃のあれこれ、
己の信念貫き命賭け本気で時代と向き合った人たち、
人物の好き嫌い、贔屓は別として、
分かり易く簡潔に著されており、なかなかいい勉強になりました。

江戸から明治、幕府から朝廷、鎖国から開国へ
ペリー来航、尊王攘夷、公武合体、大政奉還、
戊辰戦争に人斬り半次郎…西南戦争、等等
血なまぐささまだまだ日常で、混沌とした時代ながら、
心わくわくすることばに久しぶりに心わきたちました。
時代を大きく動かしたヒーローたちがとりわけ1830年代生まれに集中してる点にも驚きました。
またこの書ではないですが京を舞台に動いた新選組に対し江戸を警備していた新徴組の、
幕末の女剣士中澤琴にも大いに興味があります。

さてさてわたしは次何を読みたいのだろう。。。自分でもわからない。
人生と同じで傾向はありますが偶然の出会いがまた楽しいのかもしれません。

読了 「無用の隠密」 – 20171116(木)

無用の隠密 - 20171116(木)

藤沢周平、未刊行初期短篇集 「無用の隠密」 読了。
藤沢周平は、昭和46年43才の時 「溟い海」 で作家デビューし、
平成9年1月69歳で亡くなったのですが、亡くなったあと、
平成18年1月デビュー前に書かれた作品十四篇、翌19年春にもう一篇が発見され、
十五篇としてまとまったもの。

これらは、昭和37年秋から39年夏にかけて書かれたのですが、
当時30代半ばだった氏はこの頃大きな出来事に遭遇しています。 
38年2月に長女展子(のぶこ)さんが誕生したものの、
同年10月、妻悦子さんが生後八ヶ月の子を残し、28歳の若さで亡くなっています。
心配した母たきゑさん(69歳)が田舎から出てきたものの、目を患ったその母を、
藤沢氏は病院に連れてもゆかなければならないという日々であったようです。

さて、作家としての完成円熟味増してゆく前の作品群であり私自身興味津々、
時間かけじっくり丁寧に読ませていただきました。
氏らしく庄内を舞台にしたものが多いのですが、話しは、
職人(市井)もの、武家もの、忍者もの、浮世絵師もの、に
隠れ切支丹ものまでと、その世界内容多種多様。
荒げずりな…凝り過ぎてて読み手泣かせな(苦笑)…部分もありましたが、
世に出る前あれこれ模索されてた感、
彼の頭の中、心の中をまんま垣間見ることができたようにも思います。
そういう意味でも価値ある一冊だと、そう思いました。

わたしのお気に入りは、
「木地師宗吉」、「木曾の旅人」、「忍者失格」、「空蝉の女」、「無用の隠密」


以下、あらすじやら読後感想など。 ※ 一部ネットから転載。 
自分のための走り書き覚え書きです。誤字脱字はご容赦、また長文にお気をつけください(笑)
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■ 暗闇風の陣 …昭和37年11月号「読切劇場」
  江戸時代の切支丹の葛藤死闘。幕府の弾圧に対し穏健派(姉)と過激派(弟の菊四郎)。先祖から伝えられてきた再起の為の埋蔵金の地図を持ち出し江戸に出奔した菊四郎。それを取り戻すため追ってきた穏健派の棟梁「船津左門」とその手下。巣鴨の鴉屋敷を舞台にして繰り広げられる死闘。その間隙を縫って忍者の信絵が(船津の娘)地図を取り返し、如月伊十郎の助けもあって最後は庄内まで持ち帰るが・・・。「蝦夷地へ、後を追いまする」と信絵。書き手の「書き込もうとする」気持ち入り過ぎ複雑、読み手すっきりしない感残った。

■ 如月伊十郎 …昭和38年3月号「読切劇場」
  俗称「流れ星」と呼ばれる盗人新吉、盗みに入ろうとしたが五人の者たちに先取りされ、仕舞いには捕まって軟禁されてしまう。その盗賊たちは資金稼ぎのために盗み繰り返す切支丹だったのだが、老中松平伊豆守信明から指示を受けた伊十郎…公儀隠密であり北町奉行与力の如月伊十郎…がその成敗と捕まっている者たちの救出にあたる、という話し。藤沢周平のキリシタンものは「暗闇風の陣」とこの二つしかないが、これは暗闇、、、に比べれば読みやすかった。

■ 木地師宗吉 …昭和38年4月号「読切劇場」
  職人もの多く手掛けている藤沢作品の一等最初に書かれたものであり、藤沢周平の最も得意とするいわゆる市井短編作品の第一作として位置づけられる作品。庄内藩が諸国への売出しを目論む「こけし人形」。その試作品の作製を命令された城下の六人の木地師の一人「宗吉」。最終的に選ばれたこけし作者とその店は庄内藩御用達が許されるという。悩み行き詰まる宗吉が行き着く先は。藤沢得意の情景の豊かさはないが、読み物として面白かった。

■ 霧の壁 …昭和38年7月号「読切劇場」
  女房に裏切られ?六年の牢獄生活をした前科者である男と、亭主に裏切られた実家に戻った女の物語。目と目を合わせるだけで互いの心を確かめ合える仲になってゆく。反対よそに、短く熱い夜を過ごしたふたり。男は去ってゆく。見つめる女の目の前には、ただ白いやわらなか霧の壁があった。藤沢作品お得意の情景描写がこの作品にはありました。そう云うさきがけ的意味を持つ作品でしょう。

■ 老彫刻師の死 …昭和38年8月号「読切劇場」
  エジプトの帝王ファラオの御用彫刻師になって三十年。実在した人物、老彫刻師「カエムヘシト」の苦悩を描いた作品。新しい神殿の設計を任された弟子で新進技術者「ヒメネス」、その設計は完璧な構想・設計でありもはや「カエムヘシト」の時代は去っている。彼には二人の娘がある。愛妻「アギウラ」との間に出来た「タジ」と、妻「アウギラ」が弟子の「オマー」と不倫の結果生まれた「アナン」。人生の終焉を迎えて過ぎし日の妻を思い起こすカエムヘシト。藤沢周平のデビュー作となる『暝い海』の北斎と広重の関係は、この作品の「カエムヘシト」と「ヒメネス」の師弟関係から浮かんだように思われます。

■ 木曾の旅人 …昭和38年9月号「読切劇場」
  木曾福島の宿に一人の旅人(喜之助…実の名は宇之吉)が入ったところから話が始まる。四十年前、恋人の「お佐和」の腹に子が宿っている事を承知しながら、三年待ってくれと言い江戸に出た。しかし香具師となった宇之吉にもそれなりの事情があり、いつの間にか四十年という長い歳月が経ってしまっていた。帰郷した宇之吉が見た久しぶりの故郷は、そして「お佐和」は、更に子供は・・・。父娘で言葉少なに語り合ったあと、故郷にも江戸にもかける希望を持たない老いた宇之吉が再び鳥居峠を北に奈良井の宿の方に向かうラストシーンは、のちの藤沢周平らしさを存分に味わえる名文だと思います。

■ 残照十五里ヶ原 …昭和38年10月号「読切劇場」
  肥沃な土地と長い海岸線を有する庄内は、南・上杉、北・最上、東・伊達の各氏が歴史的にも覇を競っている魅力ある土地。そんな中での天正十一年(1493年)から天正十六年(1588年)迄の庄内地方の覇権をめぐる興亡を描いた歴史小説。 時代小説と歴史小説、似て非なり。歴史は教科書の年号羅列でいいや、と思う私は読み進めるもののおしまいまで興味わかず、つまりあまり面白くなかった。

■ 忍者失格 …昭和38年10月号「忍者読切小説」
  「残照十五里ヶ原」からさらに百年遡る、明応二年(1493年)に話し始まる庄内地方の勢力争いからの一話。ある時独り身の草の木兵衛は襲った先で赤子…雪太郎と名づける…を見つけ連れて帰る。一方同じ草の仲間の女房に手を出した木兵衛はその女房と連れ子香苗と暮らすようになる。血のつながりのない二人の子にきびしい修行を課し忍者として育てた。火薬を噛んで自爆する木兵衛、そして二人の子らは。武藤と佐越の戦いは武藤の勝利に終わり以後「残照十五里ヶ原」の頃まで、庄内地方は武藤氏支配が続くこととなった。これは同じ歴史ものでも話しが柔らかく面白い。とても読み易かった。

■ 空蝉の女 …昭和38年11月号「読切劇場」
  大工の辰五郎と所帯を持ったお幸。子は生まれたものの早死にされ、おまけに今はいっぱしの棟梁となった辰五郎に女ができた。子はいなく夫はいたが他人より冷たい。そして家にはめしの世話をしてやらなくてはいけない見習い大工の参吉と信次がいる。「茶の花にしろ山茶花にしろ、八ツ手にしろ、それに柊も、冬の花はどうしてみな白いのだろうか」。 色恋ものであったが、切ない人生訓的な一作であった。情景描写もなかなか美しい。

■ 佐賀屋喜七 …昭和38年12月号「読切劇場」
  明るく派手好きな女お園と貧しく苦労の連続だった地味な男喜七が所帯を持つ。男は初めその気性に元気をもらうのだったが、そのうち男遊びに走る女房。ついには手がつけられなくなるまで。そこに奉公時代からの同じ釜の飯食ってきた幼馴染お品がちょっと絡む。男の行く末は如何に。藤沢作品には珍しい徹底的なる悪女(悪妻)もの。情景描写もなかなか美しい。

■ 浮世絵師 …昭和39年1月号「忍者読切小説」
  武家もの市井ものとりわけ下級武士や庶民の暮らし描く事得意とすると云われる藤沢周平の第三の顔とも云うべき浮世絵師もの。昭和三十九年一月発表。翌四十年の「北斎戯画」、四十六年氏のデビュー作となる「溟い海」、のちの「歌麿おんな暦歴(喜多川歌麿女絵草紙)」「江戸おんな絵姿十二景」「広重『名所江戸百景』より」へと続く原型。藤沢周平ワールドの一つとして読む価値ありな一作。

■ 待っている …昭和39年3月号「読切劇場」
  島帰りの元錺職人徳次が江戸に戻った。迎えに来てるかもと思ったお勢が来ておらず落ち込むが、遠島になった時まだ十二三幼かったお美津がいた。お美津はうちにおいでよと云う。そんな徳治とお美津の話し。

■ 上意討 …昭和39年4月号「読切劇場」
  わがまま放題な藩主から、大したことない罪の者を成敗せよとの上意討を命じられた金谷範兵衛、実は公儀隠密。その上意討を良い機会に隠密、金谷を殺害しようと家老が放つ範兵衛への刺客、大泉経四郎。鶴ヶ岡城での話しだがそこに権力争い、幕府の非情さを描いていると云える。

■ ひでこ節 …昭和39年6月号「忍者小説集」
  庄内温海温泉郷に住む土人形職人長次郎とお才の物語。温海は温泉山から流れ出す川の下流、海に近い所に開けた温泉で、湯野浜、湯田川と並び「庄内三楽郷」と云われたが、湯田川は藤沢周平が二年間教師をしていた場所でもある。海に近いという点で「蝉しぐれ」の箕浦を彷彿させる。また口を閉ざし続けたお才に後半の長次郎は、まんま藤沢氏の失語症と小学生の頃の吃音経験を映し出しているように思います。

■ 無用の隠密 …昭和39年8月号「忍者小説集」
  松平定信が財政疲弊政情不安な国庄内に送った隠密、板垣佐平太。その後白井矢太夫の執政により藩は安定し探索の必要がなくなった。にも関わらず、佐平太の任を解くのを忘れたまま退隠してしまった定信。定信の命令から二十数年後、時の老中から、生きていれば七十歳になっている佐平太を探せと命じられた峡直四郎。越中富山の売薬姿で潜入。話しはそこから始まる。 一方、白井は佐平太の潜入を承知しており、佐平太監視のために庄内藩の隠密青地貫兵衛をつけておいた。が、これまた八年前に佐平太が亡くなっているにもかかわらず、青地の任を解かぬまま白井は先月亡くなった。命令権者に忘れられたままになった二人の「無用の隠密」。人に恐れられる隠密と云う存在も、巨大な権力組織にあってはほんの小さな歯車に過ぎない。私が中学高校の時帰国した、戦後長きにわたり戦地にいた横井さんや小野田さんを思い出した。 峡と、青地、佐平太の娘幾代(お類)との関係。短編ながらのちに藤沢周平の特徴ともなる自然描写の美しさに武家ものの清々しさ感じとれる秀作でした。

魚津市美術展 -20171103(金)

芸術の秋です! そして今日は文化の日。
休みがぴたっときたので、魚津市美術展に出かけました。
友人知人が…知人は私が一方的に知っているだけと云う方もいらっしゃいますが(^^;
何人か出品しておられることもあり、小春日和に誘われとっしょりの徘徊的訪問です。

・画
魚津市美術展7 -20171103(金)

魚津市美術展8 -20171103(金)

魚津市美術展5 -20171103(金)

市展賞 「夏を描く」
夏を鉛筆と云うモノクロームの陰影で。
若き日のエネルギーと、巡る季節、人生への暗示感じた。
魚津市美術展2 -20171103(金)

「分岐」
細かな一つ一つの石をよく描かれたものだと思った。
人並み外れた集中力あってのものだと思いました。
魚津市美術展1 -20171103(金)

・写真
魚津市美術展3 -20171103(金)

魚津市美術展4 -20171103(金)

魚津市美術展6 -20171103(金)

魚津市美術展9 -20171103(金)

・書
魚津市美術展10 -20171103(金)


芸術というもの日頃接することなければトンとセンスもない暮らしなのですが、
心動いたものいくつかありました。 こういうものって伝わるんですね。
でも、出品された写真は元より、絵画、書、彫刻・工芸と云うものづくりの世界、
苦労して仕上げられたその奥底、平たいこんなぺらぺらなブログ写真では伝わりません。
撮影許可はもらってますが、当ブログへの掲載は作家様方の許可を得てはおりません。 
掲載困るじゃないか!けしからん! という方はご一報くださいませ。

、、、そして今日も今日とて
晩メシ博多長浜らーめん、コンプリ~ト!!
今日の博多長浜らーめん -20171103(金)
イングリッドと二人の晩メシ、今日は私の当番。 
ままごとのようなことしかできませんが、
何つくってやっても美味い美味いと喜んでくれる妻はありがたいです。

読了 「菊月夜」 – 20170929(金)

菊月夜 -20170929

山本周五郎 「菊月夜」 読了。 
秋らしいタイトルに惹かれ読んでみた次第(笑)
昭和九年から二十三年に発表されたもの、
表題含め十の話し(一つだけ中篇)が収められている、
その中篇以外はさくさくっと読める。

戦前戦中そして戦後間もない頃に著された作品群だけに、
価値観180度逆転すると云ったことモチーフにしてる作品が印象的でした。

時代もんの表紙はジャパニーズで好きなのですが、
これなども、やわらかな上品さがあって、お気に入りです。

余談ですが、生業が山中の温泉旅館の番人だからでしょう、
オフはどうもインな本読みや近所のスーパー徘徊が多いこの頃です。

以下私的メモ
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■其角と山賊と殿様 …昭和九年二月 「キング」
  大名の為には俳諧をせぬという一徹で酒好きな其角が体験するこわ~い話し。
  「霜を見る蛙は百舌の沓手かな」

■柿 …昭和十四年二月 「現代」
  亡き父の思い大事にし自分の出世棒に振るどころか左遷されし辰之助。
  そのような思いに翻弄誤解する兵馬、小房兄妹。熟柿がつなぐ二人の仲。

■花宵 …昭和十七年四月 「少女の友」
  兄弟、清之助と英三郎。ふたりへの母の扱い方が違う。 一人が継の子一人が実子。  

■おもかげ …昭和十八年七月 「少女の友」
  七歳で母を亡くした正之助。自分の良縁を諦めてまでそれを育てる叔母。
  武士として。 叔母の思い。

■菊月夜 …昭和十九年十月 「講談雑誌」
  松谷権太夫が娘小房という許嫁がありながら、疋田家の婿にとの話しがでる信三郎。
  そこに秘められた訳真相とは。そして出家する小房。せつない。仇討ちの物語。
  「ああ、月が出た」

■一領一筋 …昭和二十一年九月刊収録 『菊月夜』
  内田覚右衛門の部屋住み息子三男の圭之助は、文武双方に優れ、婿入り先も十二からあるという超人気。それが自ら希望し癇癪持ちで名高い鴨部五郎左衛門の家に婿入り。鎧一領槍一筋、泰平の世に武士とはどう生きるべきなのか。終わりはユーモラス。

■蜆谷 …昭和二十二年三月 「新読物」
  慶長五年領主石田三成一代の合戦があるため、心ある者は陣へ参って働くようにとの布令に蜆谷から他の二人とともに出た弥之助。負け戦で蜆谷の村に帰ると英雄視し送り出した村人の態度は一変。冷たくあしらわれる。母は田畑売り果たしやつれ、嫁して四十日だった妻は離縁され実家に帰っていた。吟味所でのお裁きや如何に。そして村に帰った弥之助、お八重。村人たちに語りかけ始めた。

■忍術千一夜 …昭和二十三年二、五、六月 「新物語」 ※400字詰め原稿用紙150枚ほどの中篇
  よくわかんな~い!(^^; ふしぎちゃんな話し。飛騨の国保良郡吹矢村、主人公八百助、極悪なる下男出来六。洞瀬山曾古津様(曾古津神社)。権右衛門(ごんえむ)、娘おせん、酒と博打の好きな道楽息子二人、成木持助(大阪の大きな材木問屋の次男)。悪役人蓑賀参蔵、お杉姐さんに、権頭、中将、杢。難しい漢字言い回し多いものの、講釈師語りかけるよな出くわしたことのない文体文字の息継ぎ表現。醜態に生まれし男の、冷たい村人たち、悪行重ねる役人商人たちへの復讐物語。破天荒ダイナミックな筋書き。最初とても読みづらかったが、気づけばファンタジックワールドへ入り込んだような、そんな物語。登場する人物、地名もなかなかナイス。「忍術千一夜」というタイトルが凡人な私には今一つピンと来ない。第一話「艶妖記」、第二話「三悪人物語」からなる、本書唯一の中篇もの。

■留めさんとその女 …昭和十年九月 「アサヒグラフ」
  三十八になる水夫で純な男留さん。倹約家で酒は一合、あとはもらい酒決め込むと云う徹底ぶり。そうくれば世の中お決まり。金が出てく何かができる。で女にハマる。もう三十八だし。幾人かに逃げられそしてまた女ができた。よくあるウブな男と百戦錬磨な女との話し。「てけてんてん、すててんてん」「おらあも、そろそろひと花咲かしてもいい頃だなあ」。時代物のような現代もののような、超短篇。

■蛮人 …昭和十一年八月 「アサヒグラフ」
  石灰工場で働く七人…男四人とその妻たち三人。
  そこで事件が。人が最後にゆきつくような場所での乾いた切なく悲しい話し。
  これも時代もののような現代もののような、超短篇。

読了 「ひとごろし」 – 20170919(火)

ひとごろし -20170919(火)

山本周五郎 「ひとごろし」 読了。 表題含め十の話しが収められてる。
ひとごろしなどという物騒なタイトルにチトひいちゃいますが、話しにゃんともかわいい、
わたしとしては 「怖いよ怖いよ 人殺しさーん!!」 に変えてほしい、そんな話でした。
問題解決にはいろんな方法があるものだと改めて感心、読み進めて落ちついた次第です。

ほか
「壺」 「暴風雨の中」 「雪と泥」 「鵜」 「女は同じ物語」
「しゅるしゅる」 「裏の木戸はあいている」 「地蔵」 「改訂御定法」

どれも読み応え十分!ひゃっほー!!深い。 とりわけ、
「女は同じ物語」 時代もんですがまんま現代ものじゃない(笑) おもしろかった。
「裏の木戸はあいている」 「改訂御定法」 は、政に携わる人々必読だとも。

周五郎ワールド、浸りすぎると濃ゆすぎて疲れますが、読書の秋にはお薦めです。

読了 「寝ぼけ署長」 – 20170906(水)

寝ぼけ署長 -20170906(水)

山本周五郎 「寝ぼけ署長」 読了。 周五郎には珍しい現代もの。
と云ってはみても、昭和二十一年から一年余りの間に発表されたものですから、
もうかれこれ70年ほど前に書かれたものですが。

十の話しからなり、一見タイトルのよな署長が、事件を解決してゆきます。
一般的な事件簿のようにスッキリ!解決しないことに最初歯がゆさ覚えましたが、
そしてややオーバーフィクションなる話しあること否めませんが、通して弱い者の味方であります。

読み終え心に残るのは、憎むべき悪は、正直で貧しい者が一線を越え法を犯したという
その事のみにあるのではなく、法の網の目を巧みにくぐり抜け、法すれすれ己の欲のために
世渡りする者たちこそ、実は最も憎むべき対象であるとみている、という点です。 
本当に貧しい者は罪を犯す暇などない。 犯罪は懶惰な環境から生まれる。
安逸から、狡猾から、無為徒食から、贅沢、虚栄から生まれる、
決して貧乏から生まれるものではない、と云うものの見方です。 

そして、現実問題この様な署長がいたなら、現在の組織では窓際行きか、
お暇出されるでしょうが、所詮人間などと云うものは小さな悪事もしながら生きてます、
爪の垢煎じて何とやら、人間性豊かな血の通った組織であってほしいものです。

「中央銀行三十万円紛失事件」、「海南氏恐喝事件」、「一粒の真珠」、「新生座事件」
「眼の中の砂」、「夜毎十二時」、「毛骨屋親分」、「十目十指」、「我が歌終る」、「最後の挨拶」
私のお気に入りは 「毛骨屋親分」 ありえないでしょ!ってところが痛快で面白かったです。

読書の秋、秋の夜長にみなさんひとついかがでしょ、
まー私の場合は飲むとすぐに寝ちまうのが悩みの種なんですが。

夏終わる - 20170830(水)


                                           91年リリース 「さよなら夏の日」

梅雨明け前ひと月の高温続きに、明けたと思ったら時雨る日の多かった今年の夏も終息、
同時に二ヶ月に渡り休業を強いられた山の宿の仕事も始まります。 長い夏休みも終わります。
浮き世に漂う中気分は達郎、にわるさんな感じアンニュイで良いです。 たまに浸りたくなります。

好きなのでもう二つ 
95年リリース 「世界の果てまで」 CMにも使われたように思います、
軽快でやわらかい耳触り、南の国に行ってるようで心地良いです。


88年リリース 「ゲット・バック・イン・ラブ」
その昔バブル終焉期の頃やってたTVドラマ 「海岸物語 昔みたいに」 の主題歌、
渡辺裕之、賀来千香子、島田紳助に、山口美江らが出ていましたが、なんつっても!
悩める青春期演じる奥田瑛二が忘れられない。



と、同級生Sくんから電話。 今日でぴったし!定年になったと。 S家と云う名門家にあって、
宮仕えする事自体が例外的かもですが、そこは時代でありしかも部屋住みの身の上、
長い間お疲れさまでした。 区切りに一献交わしたいのですが、日が合わずとても残念でした。

さて、これにて松田聖子 「風立ちぬ」 な秋、そして越中富山は今年ももうおわらです。
(これだけ大瀧詠一、失敬)